プロローグ

元中学校講師『ヒサオ先生』こと斉藤ヒサオです。私は自由と出会いを求め、様々な国をバイクで旅し世界制覇を目論む男です。2005年から2006年にかけてオーストラリア大陸一周の初海外ツーリング。その後、半年間で東南アジア・南アジア、計11カ国をバックパッカーとして旅をしてきました。

帰国後、職を転々とした結果、中学校講師として3年半関東の公立中学校に赴任。社会科を担当し、基本的には脱線した授業が多く、旅の話で子供達の感性をガンガン刺激しました。子供達は目を輝かせ、食い入る様に話を聞いてくれたことがとても印象的です。

私は教壇に立ちながら『 Be Happy 運動 』というものを一人で行なっていました。黒板に大きく『 Enjoy smile happy 』と書き、『人生は一度きりだから出来るだけ笑っている方が幸せな人生じゃない?』と問いかけた日々。街で偶然卒業生に再会すると、親指を立てながら『 Be Happy 』と笑顔で言ってくれる。幸せを感じた瞬間でした。

人生は一度きり!『何でもいいから好きな事を一生懸命やってほしい』と、いつも生徒達に授業で言いつつも、自分の中では常に葛藤がありました。『生徒には言っているが、自分はどうなんだ??』と・・。『なんか俺…格好わり~このままじゃ絶対後悔するわ』そんな気持ちが日に日に増していきました。仕事は楽しかったし、うまくいっていた。応援してくれる人も沢山いた。人生初の安定もあった。でも、心のモヤモヤは消えなかった・・・。『チャレンジしないで、後悔はしたくない!』自分の気持ちに素直になった時、たどり着いた答えは『よしっ!旅に出よう』だったのです。

前回の海外ツーリングから8年間抱いていた『バイクで世界一周の旅』その夢を実現するため、2014年の春、ついに教員生活にピリオド。

そして、オーストラリアで出会ったクタと2014年5月に入籍。新婚旅行も兼ねて、夫婦で海外ツーリングを決意しました。妻もバイクの免許を取り、旅用のバイク『ヤマハセロー』を2台購入し、二人分の各国のビザも申請。よしっ!あとは出発するのみ!

一週間後に出発を控えていた日。予想もしていなかった嬉しいニュースが飛び込んできました。妻のクタが妊娠したのです。この上ない嬉しさがこみ上げてきました。それと同時に『俺が父親になるのか…』という不思議な感覚に包まれました。更に8年間計画し、準備を進めてきた旅をどうすべきか…真剣に悩みました。頭の中に浮かんでいたのは、『旅の中止』その四文字でした。正直なところ、人生最大の喜びと、その真逆の出来事が一緒に訪れた感覚でした。予定していた旅の出発日も過ぎ、私は数日間悩んでいました。

そんなある日、妻のご両親が『後悔するんじゃないの?クタは私達に任せて旅に行ってきなさい!今しかない。迷ったらゴーでしょ!』と…背中を押してくれたのです。どう言葉で表現していいかわからないほど嬉しくて、ただただ感謝の気持ちでいっぱいでした。

当初出発を予定していた7月から遅れること2ヶ月。旅の準備を終え、2014年9月22日、私のユーラシア大陸横断の旅がはじまったのです。

冬期の旅ということで寒さとの闘いだった約半年間。今回の旅もたくさんの出会いがあり、たくさんの人に助けられ、人の温かさを感じ、人生の素晴らしさを再確認できた最高の旅になりました。私が大好きな旅を通じて知り得た『人生の素晴らしさ』『夢を追いかける楽しさ』を、多くの若者達に伝えていきたいと思っています。

画像1:ゴッホが長年過ごし、代表作『夜のカフェテラス』を描いたフランスのアルルでの一枚。画像2:中央アジアで一番訪れたかった場所『アラル海』。写真を撮った場所から水辺までの距離は、現在200キロ先だとか…。私のブログ『目指せ世界一周 ヒサオ先生バイクの旅』では、ユーラシア大陸横断の旅をはじめ、これまでの旅の軌跡を数多く掲載しています。http://ameblo.jp/hisao-saito